3月11日 15日目

朝はものすごくゆっくり、7時半くらいまで寝てしまった。ほんと、布団は最高だよ。あったかいよ。

昨日に引き続き今日も足摺岬まで歩くのだが、そう簡単に行ける距離でもないし、明日到着できれば良いのでのんびり出発することに。土佐東寺庵で、後続のお遍路さんがたと談笑。結局9時半過ぎに出発する。土佐東寺庵さんには本当にお世話になりました。

出発して20分後くらいに、先ほど東寺庵でお会いしたおばさんに再び出会う。

このおばさん北海道の旭川から来たそうで、旦那さんの定年を機にお遍路をしようとやって来たそうだ。ただ、旦那さんは歩きたくないということで、車でおばさんの先回りをして待っているとのこと。歩くところは歩き、歩きたくないところは車で周るのだそうだ。なるほど、半分旅行みたいな気分で楽しんでいるという。

しかしこのおばさん、どうやら道に迷った(?)らしく、ボクと一緒に行動させてとのこと。歩くペースって人それぞれだし、特にボクは速い方だからおばさんの歩調に合わせて歩くのはちょっと嫌だな…と思った。


だけど!

このおばさんの歩きっぷりは只者じゃなかった。

ボクがついていくのがやっとというくらいのものすごい速さ。競歩ですか??と言いたかったw いくら、これまで歩いてきてないからといってもこのペースは尋常じゃない。おかげで予定よりもかなり早く四万十川についてしまいました。ボクは密かにこのおばさんのことを「パワフル母ちゃん」と呼んでいます。

四万十川。天気は良いが橋の上は風が強かった。


おばさんとは四万十川でお別れ。なんでも旦那さんと落ち合って昼食をとるそうな。別れ際、いいものあげると言われパンを頂いた。あり難い。


おばさんと別れてからも、体がいい調子だったので好ペースで歩く。山間の静かな道ではボクの歩く音だけ。

たまには調子にのってみる。菜の花の時期ですよ。


さて、今日のドラマはここから。「以布利という漁港に屋根のあるジンベエ広場という東屋があるからそこで寝ると良い」という情報を高知で頂いたので、それを頼りに漁港を目指して歩いていると、なにやら怪しげなおじさんと目が合う。とりあえず「こんにちは」と挨拶して通り過ぎようとしたら、声を掛けられる。

「今日はどこに泊まるんだ?」

以布利漁港にジンベエ広場というのがあるそうなので、そこで寝ようかと…」

「…。まだまだ夜は寒いぞぉ。」

「まぁ、何とかなるかと…」

「うーん、じゃあうちに泊まれい。」

まったく、なんで皆様こんなに親切な方々ばっかりなの!と嬉しさ爆発ですよ。しかもしかも、話を聞いてみるとこのおじいさんの家は民宿屋さんだそう。そこにただで泊めてくれるというから、なんというご慈悲。本当はこの民宿さんの名前を出したいのですが、そのことでご迷惑を掛けるわけにはいかないのでお名前は伏せさせていただきます。

車で乗せていってあげてもいいよ、とも言われましたが、歩くことを業としている身なのでそれは丁寧にお断りして荷物だけ運んでいただきました。本当は「荷物先に持っていってあげるよ」と言われたときちょっと怖かったのですが、大して大事なものもないし人の親切を疑うなんてもっての他ということでお預けしました。

身が軽くなったので砂浜を歩いてみたり。いちおう遍路道。なんだか気分がとてもよい。風呂に入って布団で寝た次の日ってなぜだかわからないけどいいことがある気がする。ボクはこれを「心の洗濯ができたから」という言葉にして表現しています。ぼろぼろになって疲れ果ててるときってやっぱり自分から運気が離れていくんじゃないかな、なんて。リフレッシュってのは言葉どおり体だけじゃなくて、心もすっきりできるものだと思ってます。

民宿さんに到着すると、ありがたいことにご飯が。お風呂にも入れていただいて、本当、客人扱い。手伝いを申し出るも、疲れてるだろうから早く寝なさい、と。なんてありがたいんだ。

2日連続で布団で寝ることができるのは、幸せと言える。当たり前のことを当たり前にさせて頂ける、幸せ。いや、布団で眠るってのは人間にとってそもそも当たり前なのかな。