3月26日 30日目

本日、結願の予定。

早起きして、支度。7時には記帳していただけるように八栗寺へ。ケーブルカーが走っているくらいだから結構山の上なのかと思いきや、ぜんぜん登らなかった。おかげで時間がものすごくあまってしまった。参拝が済むもまだ6時半。


85番八栗寺「考える人」


バックの山が素敵な境内。

と、ここで時間を持て余していたら、早朝の散歩に来ていたおじさんに話しかけられる。正志さんというこのおじさん、なんとも豪快な人。地元で工場をやってる方で八栗寺の方とも慣れ親しく、7時前にもかかわらず「記帳してやれよ」とお寺さんに進言して下さった。

更には、「お前、おみくじ引け」とおみくじのお接待。吉でした。このおじさんとどまるところを知らず、「俺、字美味いんだぜ」とお寺さんから筆をかりて、おみくじの裏に「人間らしく正直生きる 正志」という書をいれてくださいました。すごいぜ、おっちゃん。

ご機嫌だったのか、「おまえ甘酒のんでけ」と今度は八栗時のそばの茶屋で甘酒とごはんとお味噌汁のお接待。なぜかボクのことをしきりにかわいがってくれました。


正面が正志さん。左が茶屋のおばさん。

朝からすごい人に出会ってしまった。ぽんぽんと格言や金言がでてくる頭の回転の早いおじさんで、圧倒されてしまいました。さすが社長さんだ・・・。朝7時過ぎには八栗を出発しようとおもってたのに、結局1時間くらい話し込んでしまったが、とても嬉しかった。

さて、残るお寺もあと3つ。山を下り、幹線道路を志度へ向かって歩く。


琴電。瓦町行。あまりのかわいさに激写してしまった。


86番志度寺「あと2つか・・・」

歩き続け昼前に長尾寺へ。


87番長尾寺「あと1つ」

さぁ、最後の88番大窪寺へ向かって山越えです。その前に、お遍路交流サロンへ寄り道。


お遍路交流サロン。ここで、遍路大使任命書なるものをいただけます。もちろん公認のものではないのであしからず。

ここまで、本当にいろいろなことがありました。いろいろと感じるものがありました。そんな思いでを振り返りながら最後の山登りに挑みます。


たまには歩いてる自分を撮ってみる。

登るのは女体山。登らずに88番まで行くルートはありますが、絶景が拝めるという話なので行くことにします。天気も良く暖かい日なので快調。


山道になるにしたがって励ましの札がちらほら。「結願」の文字も。


そして女体山へ。


山道は頂上に行くにつれて結構険しい。最後は崖みたいなところをよじ登りました。

そして山頂へ。思っていた以上の景色がそこにはありました。山を登っているときや歩いているとき、いままでのお遍路のことをいろいろ考えていたせいか、目の前に開けた風景の素晴らしさは、ちょっと早いですがやりっきたという達成感、爽快感を味あわせてくれました。


背中の南無大師遍照金剛が晴れ晴れしく。

女体山を満喫した後は、山を下るともうそこには88番のお寺が。


88番大窪寺「ついに結願!やった!」


一足先に到着していたミヤシマさん(真ん中)と合流。結局ミヤシマさんとはほとんど一緒のペースで歩いたことに。名物のうどんをお接待ということでご馳走になりました。

最後のお寺です。ゆっくりと参拝しました。


この写真はお遍路でお世話になった人への結願のお知らせと感謝を兼ねた葉書の写真として使った一枚。

結願してもっといろいろこみ上げてくるものがあるかな、なんて思っていましたがほっとした思いと達成感だけであまりじんとくるものはありませんでした。これはちょっと意外かな。それでも、30日間よくやったなぁ、なんて思います。


お遍路をやってみて、思うことはたくさんありました。やっぱり一番強くおもったのは日常の大切さ、ありがたさ。自らを非日常に置いてるんだがら当然の思いと言えばそうなりますが、暖かい布団で寝られる幸せ、温かい食事をいただける幸せ、温かいお風呂に入れる幸せといった生活できることの幸せを感じることができました。また、夜の寂しさから解放してくれるお天道様のありがたさを生まれて初めて痛感しました。人に優しさと活力を与えてくれるのはお日様だ、と強く思いました。

そして両親への感謝も深く感じました。ご先祖様をとても大事に思えました。月並みなことしかいえませんが、ここに立っていられる自分があるのも、遠い昔のご先祖様から受け継がれている家族の愛なんだと思います。両親にはいろいろと苦労や心配をかけているボクですが、いつだって支えてくれる父母の無償の愛の大きさを、一人歩きながら思い返すことができました。

友人たちへの思いも格別です。ワガママなボクに懲りずに付き合ってくれる友のありがたさ、心配してくれる優しさを、寂しいときに思い返さずにはいられませんでした。ボクは札幌に下宿中ですが、その残り期間もあとわずかなので、もっと仲間を大切にしていきたいと思いました。

お遍路でお世話になった人への感謝の気持ちも忘れられません。人の親切に触れると、本当に心が温かくなります。ボクが無事に結願できたのも、いろいろな人のご恩の上に成り立っています。宿を貸してくれたり、食べ物を頂いたり、お金まで頂いたこともあります。本当に頭が上がりません。

そういったすべてことやものに感謝しています。だから、このお遍路の旅で強くボクが言いたいのは「ありがとう」という言葉に凝縮されるんじゃないかと思います。お遍路で出会った人やものに限らず、友人や両親や自然、すべてにありがとうと言いたい。

お遍路して思ったのはこういったことがほとんどです。


さて、4時ごろ高松方面へ向かうバスが出ますが、ボクはこれにはのらず、歩いて徳島まで戻ります。やはり1番のお寺にもどってぐるっと四国一周にするつもりです。5時前に徳島方面へ向けて出発。久々の夜道を歩くことに。

日記はもう1日ほど続きます。