3月5日 9日目
野犬が寝ているボクの上に乗っかってくるので、あまりのウザさに半ギレ。ただ、犬を全力で虐待すると噛み付かれたりしそうなのでなんとか追っ払おうとするも、むしろじゃれてる・・・?
さらに朝4時ごろから雨が降り始めてきて、寝ているところも濡れ始めたので、さっさと荷物をまとめる。ただ、動こうにも次の寺は目の前なので7時まではどうにもできない。しかたなく、野犬をてきとうにかまいながら6時半頃まで時間をつぶす。
朝7時ちょっと前。まだ雨は小雨。23番の薬王寺からここまでやく70キロ。長かった。
24番最御崎寺「マッスル!」
7時ちょっと過ぎたくらいに納経してもらう。お寺のおじさんにどこから来たのか聞かれた。
最御崎寺はちょっとした高台にあるので、そこからうねった道を下って室戸の町に。「室戸高校甲子園出場おめでとう」のポスターが町のいたるところにあって、「世間はそんなシーズンだなぁ」と世離れした自分の境遇を想う。
雨は次第に強くなる。風も強い。(この日は全国的に大荒れの日で、富山あたりでは突風の被害があった。)それでもなんとか歩いていると、次の寺が。
25番津照寺「ここはバントだ!(?)」
しかし、雨がさらに強くなってきたので、ここで雨宿り。防水対策が甘かったため、荷物が結構やられてしまった。お寺の中で申し訳ないが、一旦リュックから荷物を出して、ふたたびつめ直す。この時点で、寝袋をリュックに直に入れていたことに気づいて呆然。防水を施していなかったために、大事な寝袋を濡らしてしまう。・・・激萎え。
まずいなぁ、と思いつつも先に進まないとどうしようもないので、雨が先刻よりも弱まってきた時点で出発。それでも結構強い雨で、だんだん心が沈んできた。雨の中、ちょっとした山道。サワガニがいる。
26番金剛頂寺「・・・・」
テンションはかなり低い。雨はやむ気配なく降り続いているので、ここでも雨宿り。さっきからずっと雨宿りしているようで、なんだかもどかしい。ぼけーっとベンチに座る。
ころあいを見計らって、再び雨中に身を投じる。ズボンや靴はもうぐちゃぐちゃ。荷物ももう半壊か。泣きたくなるような雨にもう心はポッキリ折れました。がっかりとかしょんぼりとかとは違う、なんていうか、落胆?
しかし、昼過ぎからあの暴風雨が嘘だったかのように晴れる。気持ちもちょっと回復した。でも、今日はなんだかうんざりという感じだったので、民宿をとることにした。今まで寝る場所にはお金をかけてこなかったので、それを貫きたい気持ちはあったものの、「あまり無理することはない」という悪魔(天使?)のささやきに負けた。
宿を電話で予約すると、気持ちが一気に回復。晴れてきた天気とともに快調に足が進む。奈半利町では寄り道までしてしまう始末。
土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の室戸側終点・奈半利駅。実はこれがけっこう見たかった。JRではなく第三セクターで、もっとも新しい三セクなはず(2002年開通)。駅を写真に収めることができて満足。
宿は奈半利の隣町、田野町の「三郷」さん。着いてすぐ、人の良さそうなおじさんとおばさんに出迎えられなんか嬉しい。客はボクのほかにおばさん2人。この方たちもお遍路さんだ。
洗濯できるか尋ねたら、「出しておけば洗っておきますよ」とのこと。嬉しすぎる。ご飯は刺身やら煮物やら寿司やらで豪華だった。すっごいおいしい。お風呂にも入れたし、布団も暖かい。生きているってすばらしいと本当に思った。雨で濡れたものもそこらじゅうに広げて乾かし、濡れてしおれた心も復活ですわ。
これで明日も頑張れる、と思った。